多汗症とこころ
多汗症の中でも、手と足の多汗症は、「精神性発汗」の多汗症です。手のひらや足のうらに汗腺が多いとか、神経が過敏だというような問題ではなく、汗に対する心の持ち方が問題なのです。びっくりたり緊張した時に手のひらが汗ばんでくるのは、多汗症の人でなくても誰にでもあることです。ところが多汗症の人は、学校へ行ったり、電車に乗ったりという日常生活のごく普通の場面、つまり表面的には何の緊張も感じていない時にも、このような汗を異常にかいてしまうのです。多汗症の人は、「汗をかくのではないか」「汗をかいたら嫌だなあ」と言った汗を予想する「不安」を何かのきっかけ(ピアノとか人と握手したときとか)で持ってしまうのです。潜在意識にそのような予期不安を持っている多汗症の人の脳の中では現実に「緊張している」のと同様な状態になっているのです。それで、脳の中の「発汗中枢」は交感神経に汗をかけと指令をしてしまい手や足に本当に汗をかかせてしまいます。これが多汗症のメカニズムです。「もっとかいたらどうしよう」「汗を止めなければ」「多汗症になってしまう」とますます不安になって緊張すればするほど、さらに多くの刺激を交感神経に与えられ、どんどん汗がとまらなくなります。この段階で、多汗症の「異常な汗」となるのです。この予期不安が、多汗症の原因なのですから、精神性発汗の多汗症治療の第一は、この不安を取ることから始めねばなりません。精神性発汗の多汗症の治療法は多くの方法がありますが、どのような治療法を採るにしても、うまく付き合っていくというスタンスが多汗症治療の秘訣なのです。